【平昌五輪】カーリング女子の準決勝を前に、生きた北海道弁を学ぼう

山本祐香

折り返しも過ぎて、ますます盛り上がりを見せる平昌冬季五輪。
 
中でもカーリング女子は、“史上初めての準決勝進出”という快挙以外の部分でも注目が集まっているようです。それは、選手たちの話す北海道弁。選手に装着されたピンマイクから聞こえる北海道弁が、「かわいい」「癒される」などと話題になっているのです。
 
カーリングは、全国から選手を集めて日本代表チームを作るのではなく、日本代表決定戦で勝利したチームが丸ごと五輪に出場します。今回、日本代表となったのが「ロコ・ソラーレ北見(LS北見)」。メンバー全員が地元の北見市出身です。
 
筆者は、旭川市生まれの札幌市育ち。同じ北海道で生まれ育ったとはいえ、北見には一度も行ったことがありません。なんせ北見から札幌までは約280km、東京-福島間よりも離れているのです。そんな広い北海道ですから、地域によって方言も少し違ってきます。
 
日本の中心である東京に全国各地から人が集まるように、札幌には道内各地から人が集まってきます。ですから、海沿いの地域出身の人は訛りが強い、函館など道南出身の人は青森県津軽地方で使われる津軽弁に近い言葉を話す人が多い、と地域ごとの方言の違いを感じることもできます。
 
北見出身のカーリング女子のみなさんも少し訛りが強いと感じますが、そこが観ている方々からすると「萌えポイント」となるのでしょう。伸ばした語尾の最後が上がる「そだねー」、こんなに便利な言葉がなぜ標準語ではないのか疑問でしかない「押ささる」、競技の間のおやつタイムでも飛び交う北海道弁。
 
インターネット上には、多くの北海道弁に関する記事が存在します。「そんな言葉、私は使ったことない!」「道民みんなが使っていると誤解するような記事をかかないで!」と思うこともしばしば。また、筆者は上京して10年になりますが、北海道を出て初めて「あれは方言だったんだ」と気づいた言葉もあります。
 
そこで今回は、筆者が厳選した「道産子でなくとも今すぐ使える生きた北海道弁」を紹介しますので、ぜひ覚えて使ってみてください。そして、より熱くカーリング女子を応援しましょう!

 
 

 

【なまら】

北海道弁と聞いて、最初に思い浮かぶ言葉はなんでしょうか。
 
北海道江別市出身の俳優、大泉洋さんもよく使う「なまら」という言葉だと思います。意味は「とても、すごく」で、「これ、なまらおいしいね!」というように使います。しかし、この「なまら」という言葉、カーリング女子は使っているでしょうか。有名な北海道弁にも関わらず、使う人と使わない人がはっきり分かれる言葉のひとつだと思います。
 
現に私も小・中学生の頃は多用していましたが、大人になるにつれ使うことがなくなりました。ただ、10代後半から20代前半まで「なまら」を変化させた言葉を異常なくらいよく使っていました。それは「なんま」です。「とても=なまら」より強い「とっっっっても」を表したいときに使うことが多く、「なんんんんま、ムカつく!」というような言い方をします。全道で使われているのかはわかりませんが、私の周りではよく使われていました。
 
「なまら」を使うよりネイティブに聞こえる「なんま」をぜひ使ってみてください(笑)。
 

【押ささる】

そして、カーリング女子も使っていた「押ささる」。意味は「自分の意志と関係なく押されてしまう」です。標準語だとこんなに長くなる状況を「押ささる」の一言で表すことができるのです!
 
例えばエレベーターに乗って5階で降りる予定だったのに、なぜか3階で突然扉が開いた。「ごめん! バッグで3階のボタン押ささっていたわ」このように使います。
 
物心ついたときから使っているので考えたことがありませんでしたが、今改めて考えると「~れる」をつけられない動詞には「~さる」もつけることができないようです。
 
書かさる … このペン、インクなくて書かさらないわー
読まさる … この本面白いから、どんどん読まさるね
打たさる … バット止めていたのに打たさっちゃったから、一塁に走ったんだ
食べらさる … このお菓子おいしすぎて、ひと箱全部食べらさっちゃったよ
 
×落ちる、迷う、などには使わない
 
特に、「押ささる」と「書かさる」は頻繁に使われる言葉だと思います。標準語にしても良いくらい便利な言葉ですし、あなたも使ってみてはいかがでしょうか。
 

【なんも、したっけ】

 
辞典によると「いえいえ、ちっとも」という意味の「なんも」という言葉も、使い勝手が良くかなりの頻度で使われます。
 
「こんなにいっぱいもらっちゃってー」
「なんもだよー」
 
このように、「気にしないで」「そんなことないよ」「どういたしまして」というときに使います。英語で言えば「You’re welcome.」「No problem.」といったところでしょうか。
 
 
「したっけ」は「そうしたら」という意味ですが「したっけね」となると「それじゃあね」というような、サヨナラの意味になります。
 
「明日、何時に待ち合わせる? わがままで申し訳ないんだけど、夕方には帰りたいー」
「なんもだよ(気にしないで)。したっけ(それなら)、早めがいいよね。10時でどう?」
「そだねー、10時にしよう。したっけねー(それじゃあね)」
 
このように、「なんも」と「したっけ」をマスターするだけで、ネイティブと同じような会話が可能です(笑)。
 

 

【使う北海道弁、使わない北海道弁】

 
最初に述べたように、北海道は広いので地域によって使われる言葉も少し違ってきます。4歳から札幌で過ごしている私の独断と偏見で、“私の周りで頻繁に使われている北海道弁”と“知っているけど使う人と使わない人がいる北海道弁”に仕分けをしたいと思います。あくまでも、私の生活圏内の話です。エセ関西弁を使われると怒る関西人がいるように、自分は使わない北海道弁を得意げに披露されると嫌な道民もいると思いますので、参考にしてください(笑)。

 

私の周りで頻繁に使われている北海道弁

 

いずい (体の一部に)違和感がある

「目がいずい(目の中がゴロゴロした感じ)」「歯がいずい(治療した部分がしっくりきていない)」

おっちゃんこ 座る(主に子供に使う)

「そこにおっちゃんこしなさい」

きかない やんちゃ、言うことを聞かない

「この子本当にきかなくて大変」

こちょばしい くすぐったい 

「やめて! こちょばさないで!」

てんをきる トランプなどのカードをきること 

「同じ数字固まってるからよくテンきってね」

(手袋を)はく 手袋をはめること 

「寒いから手袋はくの忘れないで」

へんなとこはいる 気管などに食べ物が入る 

「ごほっ! ご飯変なとこ入った!」

わや ひどい、むちゃくちゃ

「やったことない仕事押しつけられてわやなんだけどー」

~(っ)しょ 語尾につける言葉、~でしょ

「違うって言ったっしょ」「それおいしいっしょ?」

 

使う人もいる北海道弁

 

あずましくない 落ち着かない 

「この宿あずましくないね」

きしゃ 汽車、電車などをすべて「きしゃ」と呼ぶ人もいる

 

しばれる ひどく冷え込む

「今日しばれるね」

しゃっこい 冷たい 

「雪、しゃっこいね」

ちょす さわる、いじる 

「ちょしちゃダメでしょ!」

ないち 内地、主に本州のこと

「あなた内地から来たの?」

ぬくい 暖かい 

「このセーターぬくいね」

みったくない 見た目がよくない 

「なにその恰好? みったくないね」

~だべ、~べさ 語尾につける、~でしょ

「そうだべ」「それはないべさ」
 

 

【北海道弁のイントネーション】

 
イントネーションに関しては、北海道を出て標準語と比べてみるまで違いに気づきませんでした。私は上京してすぐ、仕事のためにアナウンサー養成講座に半年間通ったのですが、最初の講義で先生であるアナウンサーに「どこの出身なの?あー札幌なのね。だから標準語と変わらないイントネーションで話してるんだ」と言われました。とはいえ、やはりちょこちょこイントネーションの違うところが出てきたのですが、最初に指摘されたのは「応援している」という言葉でした。プロ野球の話で、応援しているチームと選手を挙げるように言われたので、

「スワローズのファンで、応援している選手は…青木宣親選手です」
 
と言ったところ、「い」にアクセントを置いて高く発音しているけど「応援している」はすべて平板だよ、と指摘されました。
 
そして、日常生活でも思わぬ指摘を受けました。「この間」の話し言葉である「こないだ」を言ったときに、「それ、北海道弁?」と聞かれたのです。そのときはどこがおかしいのかわからなったのですが、標準語だと平板である「こないだ」の「な」にアクセントを置いて発音しており、改めて札幌に帰ったときに周りの「こないだ」を聞いてみると私と同じ発音をしていました。
 
固有名詞では、標準語の場合は真ん中、または後半にアクセントを置く言葉は、北海道弁になると最初の文字にアクセントを置くことが多いということに気づきました。
 
「幼稚園」「コーヒー」「椅子」などがそうです。
 
そして、今回のカーリング女子でも話題になった「そだねー」のように、語尾を伸ばして最後を少し上げる話し方も北海道弁の特徴のようです。
 
「そだねーぇ」「でもーぉ」「だからーぁ」と最後に本当に小さな小さな母音が入るイメージです。これがまさか、全国のみなさんにかわいいと思ってもらえるなんて道産子にとってはとても嬉しい発見です(笑)。
 

 
今までもいろいろな場面で道産子が活躍してきましたが、道産子だけが複数集まって会話する様子を聞かせるという機会はそうそうないので、今回このように急に話題に上ったのでしょう。史上初めての準決勝進出を決めたカーリング女子の強さと試合中の真剣なまなざし、その対極とも言えるようなおっとりした話し方とおやつをモグモグしているおやつタイムの姿。ギャップ萌えですね(笑)。
 

韓国との準決勝もいい試合となるよう、そして勝利を手にできるように、私たちも精一杯応援しましょう!
 
したっけね~
 

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間120試合以上観戦し観戦記録をつける日々。最近の楽しみは、大学野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”。面白いのに日の当たりづらいリーグを太陽の下に引っ張り出すべく、世の中に向けて発信をしていく。