激戦区を勝ち抜いた日体大と創価大が明治神宮大会に挑む!

山本祐香

秋。寒空の下で繰り広げられる熱い戦い。


2017年11月10日(金)より、第48回明治神宮大会(以下、神宮大会)が開催されます。高校の部と大学の部があるこの大会、高校の部は夏の甲子園を終え新チームで戦い勝ち抜いた10校が出場、優勝すると来春のセンバツへの出場が決まります。大学の部は今年一年の集大成となる秋のリーグ戦や地区大会を勝ち抜いた11校が出場、日本一の称号を手にするためしのぎを削ります。


今回は、関東五連盟(神奈川大学野球連盟・関甲新学生野球連盟・首都大学野球連盟・千葉県大学野球連盟・東京新大学野球連盟)代表が、明治神宮大会出場をかけて戦った横浜市長杯争奪・第13回関東地区大学野球選手権大会を振り返り、出場を決めた2校をご紹介します。
 

2枚の出場切符をかけたハイレベルな戦い

 

秋のリーグ戦を終えたあと、優勝校がそのまま神宮大会に進める連盟もある中、関東五連盟は、各連盟1位、2位の計10校が出場し、たった2枚の神宮大会出場切符をかけて戦う、横浜市長杯争奪・関東地区大学野球選手権大会(以下、関東大会)を行います。各連盟の代表と組み合わせは以下の通りです。




毎年、横浜スタジアムで行われるこの大会、リーグ戦でも使用する神奈川大学野球連盟所属の大学以外は特に、そこで戦うことを楽しみにしていることでしょう。しかし、今年は横浜スタジアムを本拠地とする横浜DeNAベイスターズが快進撃を見せ、リーグ3位から日本シリーズへの出場を決めたことで、大会期間が重なる関東大会はサーティーフォー相模原球場へと会場が変更になりました。首都大学野球がよく使用している球場で、首都大学野球を取材、観戦している筆者にとっても馴染みのある球場です。
 

昨年、神宮大会に駒を進めたのは桜美林大学(首都)と上武大学(関甲新)。ドラフト1位指名で千葉ロッテに入団した佐々木千隼投手という絶対的エースを擁した桜美林大は準優勝し、選手層の厚さとスタンドの部員との一体感に強さを感じる上武大は4年連続出場、3年連続ベスト4という結果を残しています。この結果は、関東大会を勝ち抜くこと自体がどれだけ過酷なものかを証明しているのではないでしょうか。


そんな関東大会で今年、悲願の初優勝を果たしたのは日本体育大学(首都1位)。そして、準優勝は創価大学(東京新1位)でした。
 

ホームランが決め手となった創価大学


まずは、準優勝となった創価大の戦いを振り返ります。





シードで2回戦からとなった創価大、初戦の相手は城西国際大(千葉県2位)との1回戦をエース大場遼太郎投手(日大三・4年)、大道寺拓投手(弘前・4年)、加藤三範投手(花巻東・1年)の完封リレーで突破した筑波大(首都2位)でした。田中正義投手(現・ソフトバンク)と池田隆英投手(現・楽天)の卒業後、2年生エースとしてチームを引っ張り、この秋のリーグ戦では最高殊勲選手賞、最優秀投手賞、最多勝利(6勝)、最優秀防御率(1.26)、ベストナインと五冠に輝いた杉山晃基投手(盛岡大付・2年)が先発、6安打1失点の完投勝利をあげました。野手陣はと言いますと、下小牧淳也内野手(日大三・2年)の2ランホームランで先制、その後も13安打8得点と打線が爆発し、東京新大学野球1位の力を見せつけました。
 

エース、杉山投手は1失点完投











準決勝は、4年連続神宮大会出場、3年連続神宮大会ベスト4の上武大(関甲新1位)と対戦。島田海吏内野手(九州学院・4年)が先日のドラフト会議で阪神に4位指名されたこともあり、報道陣も多く集まりました。前日完投した杉山投手が、この日も先発を志願。しかし、初回から制球が定まらず四死球でランナーを出したあと、犠牲フライで先制を許します。2回も2アウトから味方のエラーで出塁を許し、島田選手の右中間へのタイムリースリーベース、辻井翔真内野手(履正社・2年)のセンター前へのタイムリーヒットで2点を奪われ、ここで小孫竜二投手(遊学館・2年)へと交代。そして3点ビハインドで迎えた3回裏、2アウトからランナー二人を置いて主将の南遼太郎内野手(創価・4年)が値千金の同点3ランホームランを放ちます。5回裏には上武大のタイムリーエラーで1点を勝ち越すと、リードを守り切った創価大が決勝進出を決め、同時に3年ぶりの神宮大会出場を決めました。
 

上武大に勝利し、3年ぶりの神宮大会出場を決めた



 

“ザ・日体大”という野球を見せた日本体育大学


そして、優勝した日体大。日体大の強さについてはこちら(https://www.spportunity.com/column/61/column_detail/)の記事でもご紹介しましたが、この大会ではさらにその強さを証明することとなりました。




 

初戦は、首都大学野球リーグで最高殊勲選手賞を受賞、最速152キロを誇る東妻勇輔投手(智辯和歌山・3年)が先発。力強い速球とキレのいい変化球でサクサクとアウトを積み重ねていきます。6回無失点で後続に託し、完封リレーでの勝利となりました。打撃では、初回に先頭バッターの上西嵐満外野手(宇部鴻城・2年)がレフト前ヒットで出塁、坂本耕哉内野手(松阪・4年)の送りバントで2塁へ進み、船山貴大内野手(日大三・3年)が死球を受け出塁、その後2アウト満塁から大木惇司内野手(東福岡・2年)がセンター前へタイムリーヒットを打ち2点先制。なんと日体大は、2回戦、準決勝、決勝と全ての試合で、「初回に、1番・ヒット、2番・送りバント、3番・死球、から2得点する」という実力と運の合わせ技を披露。投手力、守備力の高い日体大にとって、先制によるアドバンテージはとても大きいものになります。リーグ戦では1打席(1安打)の出場だった中村誠外野手(大阪桐蔭・3年)がスタメンに抜擢され2回表にソロホームランを放つなど、選手の起用も当たり、終わってみれば9安打8得点と抜け目ない攻撃を見せました。



この位置から見ると、力強い速球、そんなに曲がるの? というくらい曲がるキレキレのスライダーに驚く





 

準決勝の先発は、針の穴を通すようなコントロールが持ち味の松本航投手(明石商・3年)。リーグ戦では防御率0.77で最優秀投手にも選ばれました。審判の真うしろの記者席で見ると、東妻投手の球はゴーッという音が聞こえるような力強さを感じ、松本投手の球はグィンと伸びてきて思わず体を引いてしまうような感覚です。武大でいえば、国本達樹投手(松本第一・4年)の球は東妻投手のようで、平川裕太投手(東海大浦安・3年)は松本投手のようなイメージがあります。ノッてくると止められない武大の打線をノセることなくわずか4安打に抑えた松本投手、安定のピッチングで完封勝利をあげました。これにより、日体大は13年ぶりの神宮大会出場が決定。関東五連盟代表は、創価大と日体大となりました。



4安打完封、圧巻の投球を見せた松本投手

派手ではなくとも全試合でヒットを打ち、2打点をあげた谷津鷹明内野手(向上・4年)、神宮大会でもキーマンとなるか






いよいよ決勝です。準決勝は勝利したものの、自身は2回途中で降板となってしまった創価大・杉山投手。3試合連続の先発です。日体大は、初戦で投げた東妻投手が準決勝でもいつでもいけるようブルペンで投げ込んでいたということで、西澤大投手(春日部共栄・4年)が2016年春のリーグ戦以来の先発。日体大は松本投手、東妻投手の2枚看板と言われていますが、リーグ戦が2連戦のため先発が主に2枚というだけで、誰が登板しても結果の残せる投手王国を築いています。ここまで2試合18イニング無失点とその層の厚さを見せている日体大、決勝ではどうなるでしょうか。



5回を投げ自責点0の好投を見せた
 

初回、日体大は3試合連続の2点先制から始まり、2回3回と得点を重ねます。創価大・杉山投手は3回途中4点目を失ったところで降板、望月大希投手(市船橋・2年)へ望みを託します。望月投手はここから5回1/3を1失点と好投します。また、5回表には2アウトからランナー2人を置いて、南選手と高正則外野手(関西創価・2年)の連続タイムリーで創価大が3点をあげます。日体大はこれが今大会初の失点となりました。4-3と1点差に迫られた日体大は、5回裏2アウトランナーなしから右打ちの冨里優馬外野手(日体荏原・4年)がライト方向の深いところに特大のソロホームランを打ち、創価大を突き放します。終盤はどちらも得点が入らず、このままゲームセット。日体大が関東大会初優勝を決めました。



優勝を祝し、日体大伝統の応援“エッサッサ”を披露


 

前回神宮大会に出場したのは、関東大会が創設される前の年の13年前。リーグ優勝と共に神宮大会出場が決まった当時とは違い、今回は他のリーグの代表に勝利し、頂点に立ってその日を迎えます。実は今大会、急な会場の変更や大雨が続いたあとのこの時期の乾燥などもあるのか、グラウンドの状態が良いとは言えませんでした。イレギュラーバウンドも多く、9試合でなんと35失策! そんな中、3分の1の3試合を戦った日体大の失策はわずかに1つでした。しつこいくらいに言っている日体大の守備力の高さですが、この大会でもそれを証明することとなりました。余計なランナーを出さないことは、勝利への近道。神宮大会でも鉄壁の守備を見せてくれるでしょうか。

また、神宮大会はDHなしでの戦いとなります。全試合初回にヒットで出塁、決勝では5打数4安打とリードオフマンとして最高のパフォーマンスを見せた上田選手から始まり、どんな打順を組んでくるのかは1野球ファンとしてもとても楽しみです。


最優秀選手賞を受賞した上西選手
 

創価大は、今大会登板した2年生トリオの杉山投手、小孫投手、望月投手がどんなピッチングを見せてくれるのか。特に、杉山投手は初戦は1失点完投したものの、準決勝、決勝と思うようなピッチングができなかったことで、神宮大会に向けてまた気持ちを高めていることでしょう。エースとして、さらに一皮むけたピッチングを見せてほしいです。打撃では、今大会で敢闘選手賞を受賞した南選手のここぞというときの勝負強さが発揮されるのか、神宮球場のスタンドに打球が吸い込まれるところを見たいものです。


チームを勝利に導く一打で存在感を示す南主将が敢闘選手賞を受賞
 

リーグ戦、地区大会を制した11校が日本一を目指して熱い戦いを繰り広げる「明治神宮大会」。熱い戦いを目の前にしても、観戦する私たちは凍えるほど寒いのがこの大会です。しすぎたかな? と思うくらい、がっちり防寒してお出かけください(笑)。今年の日本一はどこになるのか!? さあ、その瞬間を一緒に目撃しましょう。


第四十八回明治神宮大会 組み合わせ・日程はこちらから
http://www.student-baseball.or.jp/game/jingu/2017/2017jingu_college.html

<関東五連盟代表の試合>
11月10日(金)11:30~ 関西大学 対 創価大学
11月13日(月)15:30~ 日本体育大学 対 九州共立大と名城大の勝者 

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間120試合以上観戦し観戦記録をつける日々。最近の楽しみは、大学野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”。面白いのに日の当たりづらいリーグを太陽の下に引っ張り出すべく、世の中に向けて発信をしていく。