つながる打線と結束力、日本一を目指す明治安田生命野球部の強さの秘密は!?

山本祐香

2017年11月2日(木)から11日間、第43回社会人野球日本選手権大会が京セラドーム大阪で開催されます。今年1年の対象の大会で優勝したチーム、各地区予選を突破したチームの合計32チームが集結。開幕戦は、関東地区予選を勝ち抜いた明治安田生命(3大会ぶり5回目)と全日本クラブ選手権優勝の和歌山箕島球友会(2大会ぶり5回目)がぶつかります。

今回は、厳しい関東地区予選を勝ち抜き3大会ぶりの日本選手権出場を決めた明治安田生命硬式野球部の練習施設に伺い、たっぷりとお話を聴いてきました。
 

充実した施設で日本一を目指す


京王八王子駅からバスに揺られ約30分。硬式野球場の他にもラグビー場、アメフト場、テニスコートなども併設された、広大な敷地内にあるスポーツ施設「明治安田生命グリーンランド」に到着です。



野球場は自然豊かなところにあることが多いですが、こちらは今までで一番といっていいほどの豊かさ。敷地内に入りクネクネとした坂を上っていると、足元にはドングリが。生い茂った木々の中からはカサカサと動物の動く音。晴れていて風も心地よく、大きく深呼吸すると体の中が洗われていく感じがします。




 

そして、野球場に到着。近くには食堂やロッカールームなどが完備されている建物があります。この日は、JR西日本を迎えて練習試合が行われるとのこと。その前に、籔博貴マネージャー(西大和学園-東大)に、林裕幸監督の元へ案内していただきました。

東海大相模、東海大、日本石油(現JX-ENEOS)で内野手としてプレー、その後日本石油や千葉黎明高校、横浜DeNAベイスターズ・ジュニアと様々な年代の指導をしてきた林監督。日本石油監督時代の1993年には、同部を都市対抗野球大会優勝へと導きました。明治安田生命の監督に就任して、今年で4年目です。
 

この日の練習試合でベンチの外に座り指揮する林裕幸監督(右)


7月に行われた都市対抗野球大会への出場は叶わなかった明治安田生命ですが、東京代表4チームのうち3チームに計6人を補強選手として送り出しました。東京都企業秋季大会では優勝、さらに関東地区予選を勝ち抜いての社会人野球日本選手権大会出場。今年また強くなったように思いますが、

「強いかどうかは周りが決めることだからね。自分たちは日々やるべきことをやっていくだけ。ここに紙があるけど、これが何枚重なれば厚みを感じられると思う?」

と林監督。突然の質問で答えに迷いながらも「100枚くらいでしょうか」と答えると、

「そうだね。100枚あればそれなりに厚みはあるよね。1枚が1日だとして365枚あれば厚みを感じることができるだろう。これが練習の積み重ね。でも、急に風が吹いたとしたら、それだけ積み重ねた紙も一瞬でなくなってしまうこともある。1日でもさぼれば、また1からになってしまうんだよね。だから、コツコツ続けることが大切」

林監督は、優しい笑顔でわかりやすくいろいろなことを話してくださいます。監督が今、期待している選手を聞いてみました。

「吉田大成(佼成学園-明治大・内野手)、木田大貴(成章-早稲田大・内野手)、新城拓(興南-中央大・内野手)なんかかな。投手だと、玉熊将一(北海-法政大・投手)は楽しみだよ。俺もショートだったけど、大成みたいなタイプは初めて見たよ(笑)。人工芝でやっていたとは思えないくらい、ボールに突っ込んでいく守備をしたりね。感覚が独特で、本当に見たことがないタイプ。2年生のときに成島助監督が彼を見て、絶対うちに欲しいってね。当時は監督2年目だったんだけど、ノックを打っているときにショートとしての彼の立ち姿にピンときて、助監督に念を押したんだよ」

リードオフマンの吉田大成選手、この日の練習試合でも4打数2安打

 

早稲田大学時代は4番も打っていた2番サードの木田大貴選手、1,2番コンビが出塁することでチームも活気づく

 

9番セカンド新城拓選手、新城選手が塁に出れば1番の吉田選手に繋がり得点力が増す


今年のルーキーの名前を次々とあげ、特に吉田選手には大きな期待を寄せているようでした。林監督は選手をあだ名で呼ぶのですが、あだ名を知らない私には誰のことかわからないときもあり、話が進むにつれて「ああ、あの選手か!」とわかってきます(笑)。例えば、加藤孝紀主将(東海大甲府-東海大・外野手)は監督やチームメイトから“タカ”と呼ばれているようなのですが、タカって誰だろう…と思いながらお話を聞いている途中で選手名鑑にあだ名の項目があることを思い出し、加藤選手を探し出しました(笑)。

 

若手の意見にも耳を傾け、チームをまとめる加藤孝紀主将


練習試合が終わったあとは、選手にお話を聞きます。



練習試合の相手はJR西日本

 

日本選手権に向けて調整、6回の攻撃では一度繋がりだすとノッてくる打線だと感じた

 

個性がかぶらず生かされているチーム


まずは“さんちゃん”こと三宮舜投手(慶應義塾-慶應義塾大)。



都市対抗ではJR東日本の補強選手として出場した、期待の2年目左腕です。おっとりとした雰囲気とは裏腹に強気の投球が魅力で、最速144キロの直球がズバッと内角に決まったときの爽快感はたまりません。まずは、社会人になって初めて経験した全国の舞台、都市対抗でどんなことを感じたか聞いてみました。

「小学生のときに観戦してから都市対抗は夢だったので、出場できて嬉しかったです。応援の雰囲気とか、本当に楽しかった。JR東日本でやってみて感じたことは、チームとしての意識の違いです。どちらが良いとかではなく、チームとして意識する部分がそれぞれ違うのだな、と」

社会人2年目の今、どんなところに成長を感じているのでしょうか。そして、この先目指すところはやはり!?

「大学では慶早戦なども経験してきましたが、それほど自信がないまま投げていました。でも、今年は気持ちの面で成長して、自信を持って投げられるようになりました。都市対抗2次予選の東京ガス戦で、延長10回から18回まで投げたんです。最後は打たれてしまったのですが、そこまでの投球がとても自信になった。この先、プロでやりたいという気持ちはあります。そのためにも、球速を145キロまで上げたいと思っています」

自分では「オラッ!」と気合いの入った声を出して投げているつもりなのに、チームメイトには「おらぁ~」って聞こえると言われるんですよー、とニコニコしながらゆっくり話す三宮投手。マウンドで見せる積極的なピッチングにご注目ください。


次は、クールに現れた9年目の古田康浩投手(箕面学園-佛教大)。



古田投手は、綺麗なフォームから抜群のコントロールと低めに集める投球が持ち味のベテラン右腕。少し会話をしてみたものの、全然笑わないぞ!?人見知りなのか、心を開いていないのか、私が古田投手の懐に入れていないのか(笑)。ということで、まずは選手名鑑の趣味の欄に書いてあったバス釣りの話を。

バス釣りが趣味なんですね。どのくらいの大きさのバスを釣ったことがあるんですか。

「結婚してからは全然行っていません。60cmにいかないくらいです」

60cm弱とはかなりの大きさ! いわゆるランカーとかロクマルと呼ばれるヤツですよね。ですが最近は全然行っていないということで、この話題はここまで(笑)。まだ心を開いてくれている感じはしませんが、三宮投手と同じく今年の都市対抗はJR東日本の補強選手として出場した古田投手、その感想を聞きました。

「JR東日本は干支が一緒の一回り下の選手もいる若いチームですが、中に入ってみるとしっかりやっているなと感じました」

ご自身のチームは今年も期待の若手が入ってきましたが、今どんな状況でしょうか。

「フレッシュな感じもありますけど、9年間で一番いい感じかもしれません。年齢が上でも指導するのはコーチの仕事ですから、僕は若手には上からやいやい言わないようにしています。まあ、なめられている一歩手前なのでちょうど良いかと(笑)」

古田投手が、やっとちょっと笑いました(笑)。古田投手の強みはなんでしょうか。

「打たせて捕る投球で、コントロールに自信があります」



日本選手権ではどのような戦いを見せてくれますか。

「個人的には9年間先発をしたいと思っていたので、先発して勝てればいいなと思っています。チームとしては、もちろん日本一が最終目標ですが、まずは1回戦を勝つことが目標です。1回戦ではクラブ選手権で優勝した和歌山箕島球友会と当たりますが、そこに準決勝で負けた大和高田クラブに大学の同期のピッチャーがいるんですよ。そいつの仇をとるためにも勝たなければなりません」

惜しくもその舞台に立てなかった友の思いも背負って、古田投手が日本選手権でどんな投球を見せてくれるのか楽しみです。


最後まで心を開ききってもらえなかった気がする古田投手の次は、陽気な男がやってきました。笑いながら近づいてきます(笑)。右投げ左打ちの絶好調男、宮川翔太外野手(千葉経大附-国士館大)です。




「今年は今までの野球人生で一番調子いいのに足を捻挫しちゃって、ここ1ヶ月くらい何もできてないんですよ。いや、本当はこんなに長くかかるはずじゃなかったんだけど、日本選手権の予選のとき、テーピングをグルグル巻きにして無理して出たんですよね。だから悪化しちゃった。でも、鷺宮製作所戦でライトオーバーの3点タイムリーを打って、勝って日本選手権に出られることになったから無理して良かったかな、って」

質問をしなくても、よくしゃべってくれます(笑)。クラスにひとりいそうな元気キャラ。宮川選手も、セガサミーの補強選手として都市対抗に出場しました。

「セガサミーはすぐそこですし(明治安田生命のグラウンドから見える)、合流した日から良くしてもらいました。調子良かったから選んでいただいて良かったし、ただただ楽しみで。セガサミーはイケイケどんどんなチームなので、自分には合っていましたね。自分のチームも結構イケイケで一度勢いついたらどんどんいけるんですけど、スロースターターというかあまり序盤に点をとる感じではないんですよ。セガサミーは序盤から崩す感じですね。あと、ロッテファンだったので初芝監督とできるのが嬉しくて。プロの目線で、もっとこうした方がいいよと指導してもらえて良かったです」

都市対抗では2試合ともスタメンで出場し、3安打4打点とチームに貢献。林監督も「ミヤは都市対抗に出て変わった、より良くなった」と言っていたくらい、宮川選手にとって大きな経験だったのだと思います。それにしても、今年そんなに調子がいいのはなぜなのでしょうか。

「千葉経大附属高校のときに、カープの丸がエースで自分がセカンドだったんですよ。で、ある日YouTubeで丸のこと見ていて、丸のフォームを意識するようにしてみたんですよ。周りから見るとあまり似ていないと思うんですけど、意識することで調子が良くなったんです。直接見たわけではなく、YouTubeですよYouTube」

なぜかYouTubeを強調してくる宮川選手(笑)。アグレッシブなプレースタイルが売りだと言いますが、もう少し大人の野球をしたいという思いもあるようです。のちに加藤主将にお話を聞いていたら、そんな思いを知らないのに、宮川選手が最近少し大人になったと話していました。小学生が中学生になった感じ、とのことです(笑)。

「日本選手権に向けて、足の状況を見ながら復帰したいと思っています。ずっと試合に出ていないので調子が維持できているかはわからないけど、また戻れるように頑張りたい」

顔写真を撮らせてもらったときも、「笑った方がいいですよね!」と言って満面の笑みをカメラに向けてくれた宮川選手。日本選手権ではグラウンドを駆け回っていることを願っています。


さてお次は、10年目の頼れる主将、加藤孝紀外野手(東海大甲府-東海大)です。



都市対抗で優勝したNTT東日本の補強選手だった加藤選手、お話こそ聞く機会がなかったのですが、ベンチ裏やグラウンドでお見かけしていました。そのときはイケイケでヤンチャなタイプに見えていたのですが、今回初めてお話をしたら、とても柔らかく真面目な方でした。

「NTT東日本への補強は3回目です。もう迎えられる感じはなくて、最初からチームの一員という扱いです。実力を認めてもらえて、第1代表のチームに選んでもらえるというのは嬉しいですね」

決勝では、値千金の同点ホームランも打ちましたよね。そしてチームも優勝しました。

「前回は大会中3本ホームランを打ったので、今回は5本がノルマだったんですけどね。でも、野球をやっているからには活躍して注目されたいという思いはずっとありましたから、全国大会でこうやって見てもらえたのは良かったです。最初は東京都に優勝旗が来て良かった、と思いました。でも、一息ついて考えてみると、優勝メンバーのひとりであっても補強選手は補強選手で、優勝チームのユニフォームにつくエンブレムも僕はつけられないんですよね。寂しいなって。優勝を味わえたのは良かったけど、やっぱり自分のチームで優勝しなきゃいけませんね」

今のチーム状況をどう見ているのでしょうか。

「野球を知っている選手が多くなってきたと感じますね。うちのチームのキーマンは、9・1・2(打順)の新城・吉田・木田です。このルーキー3人が爆発してくれれば勝てる。そして、そのうしろ4・5・6にはベテランの増野・竹内・加藤がいる。3に怪我が治り中堅の宮川が入れたら、なおバランスがいい。投手も、古田・大久保・三宮・鈴木・黒萩・岡といます。特に、大久保・三宮には完封を求めたいです。今のチームでは、負ける気がしないですね」
 

天才肌の野生児は何を考えているのか


加藤選手に長時間に渡りじっくりと話を聞いているうちに、辺りが真っ暗になってきました。そこへ、次に話を聞く予定だった吉田大成選手(佼成学園-明治大)がバットを抱えたまま近づいてきます。ずいぶん長くお待たせしてしまいました。



「こいつは天才肌ですごいんですよ。野生児って感じ。期待しているからキャンプのときもこいつがどんなやつか知りたくて、わざわざ同じ部屋にしてもらったんですよ」

「え! そうだったんですか!?」

「そうだよ(笑)。今、試合後に選手ミーティングをやっているのですが、それを提案してきたのも吉田なんです。なんでやらないんですか? って。ちょうど僕もやった方がいいと思っていたので、やり始めました。年齢関係なく、言いたいことがあるときは言って、ないときは何もなくてもいい。自分たちで考えて、自分たちが答えを出す。違うことがあったら、コーチなどが直してくれます。これをやり始めてから、結束力が高まったと思います」



まだ野球少年のような雰囲気の吉田選手に、優しく微笑みながら話す加藤選手。チームの雰囲気の良さがうかがえます。若手も意見しやすい環境のようですが、吉田選手にとって加藤選手はどんな主将なのでしょうか。

「自分たちの良さを生かしてくれるし、意見もちゃんと聞いてくれます。なんなら僕たちを中心に考えてくれているくらいで。やりやすい環境です」

「実際、おまえたちが中心だからな。特におまえには本当に期待しているから」

本当に仲が良い先輩、後輩です(笑)。実は私、吉田選手は大学生のときから注目して見ていて、いつか直接お話を聞きたいと思っていました。注目するようになったのは、独特な動きの守備を見たことがきっかけです。

「自分はエラーしないようにではなくて、“アウトにするため”に守っています。なので、打球に向かって直線で切り込んでいくイメージで動いています。エラーを恐れた打球の処理の仕方でセーフになってしまうくらいなら、アウトにできるタイミングで打球を処理して、結果エラーになった方がマシです」

そういえば、東京六大学選抜×東京ヤクルトスワローズのときに吉田選手はセカンドを守っていましたが、ノーアウト一、二塁から6-4-5のダブルプレーという珍しいプレーがありましたよね。どのような意識であのプレーが生まれたのかずっと気になっていました。詳しく説明してもらってもいいでしょうか。
 

「あの場面は、川端慎吾選手が打席に立っていたのですが(ランナーは一塁が上田剛史選手、二塁が西浦直亨選手)、打球がライナー気味だったのでセカンドランナーが一瞬バックしたんですよ。点差も離れていたので(1-6の5点ビハインド)三塁にランナーを残したくなかった。片隅にバックしてスタートが遅れたランナーが見えたので、サードに投げました。いつもいろいろなパターンを想定して守っています」

三塁にランナーが残っても確実に2アウトがとれる6-4-3ではなく、1つでも先の塁に進ませない守備。これが吉田選手の魅力ですね。そして、林監督や加藤選手も「そこにいたんだ、というところで守っている」という吉田選手、はたから見ると野生の勘のようにも思えますが、綿密な計算の上で守備位置を決めています。その守備に対する考え方が、吉田選手自身のバッティングにも生きているようです。

「このバッターの打球はこの辺に来るだろうと守っていて、全く予想もしない方向にヒットを打たれたら読めなくなるので、嫌なバッターだなとなる。自分もそういう嫌なバッターになるためには、と考えます。相手の守備位置や動きを予想して、あの辺に打てばヒットになる。あの辺に飛ばすためにはこの辺りでボールにバットを当てればいい。この辺りでボールにバットを当てるためにはこのタイミングでバットを出す。というように逆算していきます」

守備力はもちろんのこと、打撃力にも定評があり、明治大学時代は4年秋に東京六大学リーグ2位の打率.424でベストナインにも選ばれました。今年もチームが優勝した秋季東京都企業大会で、最高殊勲選手賞を受賞しています。

「4年秋はもっと打てたのに、と思います。自分の納得するバッティングではなく、その場しのぎのバッティングをしていました」

その場しのぎのバッティングで打率.424って…。

「大学時代はずっとプレッシャーの中でやっていました。2年生の時にチャンスをいただいたのに、一塁まで走るときに足をくじいたんですよ。善波監督に厳しい言葉をかけられました。そうだよな、せっかくのチャンスに一塁までも走りきれない選手なんてダメだよな、と思いました。練習でも、監督が来ると緊張感で急に今までできていたことができなくなったりしました。その頃はできないことも、『監督が来たからしょうがない』とか、『こういう環境だからしょうがない』など、いろいろと自分自身にいいわけばかりしていて。でも、結果を残している先輩方は同じ決められた環境の中で、ちゃんと自分でやり方を考えて結果を出しているんですよね。自分もそうしなければ、と思いました」

吉田選手が在籍している間だけでもリーグ優勝が5回、全国大会の優勝1回、準優勝2回という名門野球部での4年間は、相当なプレッシャーとの戦いだったようです。チームのことを考えたバッティングをしているうちに、打率は残したけど空振りができないバッティングに。

「今は“空振りできるのが才能だ”と思っています。この球を空振りしてこういうことがわかったから、次はこうしようと考える。それから、チームの先輩の道端俊輔さん(智辯和歌山-早稲田大)にキャッチャー目線のバッティングを教えてもらいました。それを理解するのに1カ月、自分のものにするのに1カ月かかったので春は打率が上がりませんでした」

早稲田大学4年時は、正捕手としてチームをリーグ連覇に導いた道端俊輔捕手。同級生には、重信慎之介(巨人)・茂木栄五郎(楽天)・河原右京(トヨタ自動車)・丸子達也(JR東日本)・竹内諒(Honda鈴鹿)・吉永健太朗(JR東日本)


「小さな頃、サッカーをしたかったのに親に野球をやらされて今に至るんですけど、今が一番野球が楽しいです。ずっと野球のことを考えていて、楽しくてしかたがない。大学の先輩の福田周平さん(広陵-明治大-NTT東日本-オリックス3位指名)や糸原健斗さん(島根・開星-明治大-JX-ENEOS-阪神)を追い越すのが目標です」

加藤選手も、ショートの守備はNo.1と評価する福田選手。でも、吉田選手には「お前は福田を超えられる」と言います。プロへの思いはどうなのでしょうか。

「大学でプロ志望届を出さなかったのは、自分の中で中途半端な状態で行きたくなかったから。今の状態ならプロで頑張れる、と納得するまで社会人で頑張ろうと思いました。大学2年のとき、たまたまこのチームの練習に参加した人についてきただけだったのですが、まだ下手くそだった自分に、うちに来ないかと言ってくれました。今は“俺がやらなきゃ誰がやる”という気持ちでやっていて、このチームでできて良かったと思います」
 


 

全てをここに書けないことが残念なくらい、どの話も興味深かった吉田選手。子供のような笑顔と天真爛漫な様子から感覚で野球をやっているように見えますが、実際はどこまでも深く考えて理論を持ってやっていることがわかりました。天才肌に感じられるのは、考えた先のその答えが多くの人の答えとは少し違うから。その考えにたどり着いても、実際にモノにできる能力と努力がなければなりません。その全てを持ち合わせていて、この先どんな選手になっていくのかと考えるとワクワクします。ずっとバットを持って話をしていた吉田選手、このあとも練習します! と暗闇に消えていきました。

若手の話もきちんと聞いてチームをまとめる加藤主将、クールな表情でコントロール良く球を投げ込む古田投手、普段はふわふわしていてもマウンドに立つと強気の投球三宮投手、アグレッシブなプレースタイルでベンチでも誰よりも声をだす宮川選手、チームに新しい風を吹かせる吉田選手。それぞれの個性、役割がはっきりしていてとてもバランスの良いチームと感じます。加藤主将が「負ける気がしない」と言ったのも頷けます。

そんな明治安田生命硬式野球部も出場する、社会人野球日本選手権大会。みなさんも、11月2日から京セラドーム大阪で始まる熱い戦いをその目で観て、何かを感じてみてください。

明治安田生命硬式野球部のみなさん、ありがとうございました!また今度、他のみなさんのお話も聞かせていただけたら嬉しいです。

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間120試合以上観戦し観戦記録をつける日々。最近の楽しみは、大学野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”。面白いのに日の当たりづらいリーグを太陽の下に引っ張り出すべく、世の中に向けて発信をしていく。