1点差で惜敗も連日のビッグイニング!FutureDreamCupレポートVol.2

白石 怜平

11/3(日)、埼玉県吉川市の吉川運動公園で「10th Anniversary FutureDreamCup」の大会2日目が行われました。
 
「存在するのはルールだけ!」

国籍・障がい・年齢・性別・LGBTQなど全ての壁を取り払い、「誰もがありのままに、自分らしく」心から野球を楽しみ、誰も排除しない”多様性”の野球大会で、今回は第10回の記念大会となりました。参加チームも過去最多の10チームで、トーナメント方式で行われました。
千葉県唯一の身体障がい者野球チーム「市川ドリームスター」は大会初日、野球選手のモノマネ芸人で結成された偽(いつわり)ジャパンや、松井秀喜さんを5打席連続敬遠した投手である河野和洋さんなどが集まった混合チーム「Diversity Yoshikawa City」を9-2で破り、2回戦へと進んでいます。
※前日の試合はこちら!
 
この日は市川ドリームスターと滝野川高等学院の組み合わせ。
滝野川高等学院は東京都北区にある通信制サポート高校で、不登校児童の改善や支援に力を入れている学校です。
 
早朝の午前8時、プレーボールの声が掛かります。本大会は各チーム特別ルールがあり、市川ドリームスターは4アウト制と1度だけ1アウト満塁から開始できる2つを採用しました。
 
この試合の采配を振るう仲村謙人ゲームキャプテンは初回から早速1アウト満塁スタートを選びます。1番・小林浩紀が右飛で倒れた後、この試合2番に入った副キャプテン・土屋来夢。左の好打者は逆らわずレフトに返し犠牲フライで先制します。

連投となった先発の小林

1回裏、滝野川高等学院の攻撃。先発は前日の試合で遊撃から途中で投手に回り、2イニングを無失点に抑えたユーティリティプレイヤー・小林が務めます。先頭を左飛に打ち取り、次の打者に四球を与え1アウト1塁。

​迎えた3番打者。下半身の筋肉が大きく長距離打者の風格があります。ピンチの芽を摘みたいところでしたが、4球目をフルスイングすると打球は右中間を割る3塁打となり同点に追いつかれます。4番には四球を与え、5番は一ゴロに打ち取るもランナーが生還し勝ち越しを許します。 

2回、両軍点の取り合いに

2回表、前日に1イニング8点取った市川ドリームスターの打線が今日も攻め込みます。先頭の4番・パラローイングの五輪候補選手でもある山岸英樹が出塁すると、前日の試合で豪快なホームランを放った山田元が右前安打。この後ノーアウト2・3塁とチャンスをつくります。

続く6番の土屋大輔が四球で満塁とすると、迎えるは7番の石井修。下肢障がいを持っている選手で、8月の関東甲信越大会では相手投手に7球投げさせ安打を放つなど粘り強い打撃が特徴です。ここでも1球ファールの後に四球を選び持ち味を発揮し、押し出しで同点に追いつきます。その後3アウトになりますが、9番・遠藤敬之からさらに4者連続四球で4点を勝ち越します。前の試合では豪快な打撃で大量点を取りましたが、この試合では各打者の選球眼が光り柔軟な攻撃を見せました。

得意の粘り強さを見せ、同点の押し出し四球を選ぶ石井

2回裏、この回は若さあふれる滝野川高等学院打線の反撃に遭います。先頭の9番は四球でノーアウト1塁とすると1番は3球目をフルスイングし、左中間を破る2塁打で1点を返されます。その後タイムリー内野安打などで3点を返され1点差まで詰め寄られます。

5番を打ち取り2アウトとしますが、6番はファールを2球打たせて追い込むも4球目がレフトへ上がり、惜しくも届かず同点。続くランナー3塁で7番にセンター前タイムリーを浴び勝ち越しを許してしまいます。この回5点となり、再び1点ビハインドで最終回を迎えます。
 
この試合も時間制ルールを採用しており、台風19号の影響でもう1つの会場が使用できないこともあり75分制に変更となりました。
 
最終回の先頭は8番の富田寅蔵。内部障がいを持っており、公式戦ではスコアラーとしてベンチ入りしていますが、この大会では2試合フル出場しました。打席では初球を積極的に打ちに行きますが三ゴロ。後続も続かず無得点に終わります。裏の守りではエース・山岸が登板します。8月の関東甲信越大会以来のマウンドでしたが、日々のトレーニングで磨かれたストレートが光り無失点に抑えるなど貫禄の投球を披露しました。
 
しかし、この時点で75分が経過しゲームセット。市川ドリームスターは6-7で敗戦し、惜しくも準決勝に進めることはできませんでした。なお、滝野川高等学院はこの後も勝ち進み、FutureDreamCup優勝を飾っています。

試合後のコメント

仲村謙人ゲームキャプテンの声

勝ちに行くのと魅せにいくので自分の中でブレてしまいました。良かったところは、声がグラウンドからもベンチからも出ていました。あと、守備もお互い声をかけてフォローしたたので見てて良かったと思います。
私は采配に加えてランナーコーチも力を入れてやっています。スタメンで出れる機会も少ないので自分のやれることをやって、なるべくスムーズに事が運べるように取り組んでいます。

土屋来夢選手の声

初回の犠牲フライですが、打ったのは外角高めの真っ直ぐです。
最近外角の球を逆方向に弾き返すのをテーマにやってるので、イメージは良かったです。
先制点ということで打点は付いたのでチームバッティングはできたと思うんですけども、個人的には1本ヒット打ちたかったですね。
あと、ショートの守備には自信を持っています。ウチのチームは、サードなどが特に下肢障がいのある人で、レフトも不自由のある人が守ることが多く、従来の健常者の野球とは概念が違うので、左中間のダイヤモンドは全部行くつもりで心構えをしています。

小笠原ミニ大GM補佐の声

今日の試合は、相手につけ込めるときに心を鬼にしてつけ込まないといけない試合でした。チャンスを活かせないとあれよあれよの間にこちらもつけ込まれてやられてしまうと。コールドを狙いに行くくらい鬼の心も必要なのかなと思いました。
僕はモノマネの技術は教えられますけど野球の技術は教えられないので偉そうには言えないですが(笑)

白石 怜平
1988年東京都出身。 趣味でNPBやMLB、アマチュアなど野球全般を20年以上観戦。 現在は会社員の傍ら、障がい者野球チームを中心に取材する野球ライターとしても活動。 観戦は年間50試合ほどで毎年2月には巨人をはじめ宮崎キャンプに訪れる。 また、草野球も3チーム掛け持ちし、プレーでも上達に向けてトレーニング中。