今年も始動、大学軟式JAPAN! 軟式野球を世界へ、日の丸を胸に戦う

山本祐香

1995年に初めて結成された「全日本大学野球軟式野球連盟 国際親善大会 全日本代表チーム」(通称:大学軟式JAPAN)、今年もセレクションを経て23人のメンバーが選抜されました。
 
日本生まれのスポーツである軟式野球は、万人が楽しめる“生涯スポーツ”。大学軟式JAPANは、日本はもちろん、海外の子供たちにもその存在を知ってもらい楽しんでほしい、という思いで毎年海外に行き野球教室を行っています。それと同時に、高いレベルで戦う自分たちの力を試す親善試合も行われます。
 
昨年、その活動内容や軟式野球に対する思いについて、小野昌彦監督を始め、当時の主将やメンバーにお話を訊きました。
 
 
野球を通して何を学ぶ? 国内外に軟式野球を広める大学軟式JAPANの取り組み

https://www.spportunity.com/column/112/column_detail/
 
 

大学軟式野球は現状、専用のグラウンドがない大学が多い等、決して恵まれた環境とは言えません。しかし、そんな環境を社会に通じる人間作りをするための“学びの場”として利用しています。学生たちが“主体性”を持って自ら考えて動き、周りの大人たちは基本それを見守り必要な時だけサポートをしていく。その中で学生たちは人間性を高め、野球の技術も磨いていくのです。
 
そんな学生たちにとって大学軟式JAPANのセレクションは、日本中の大学から集まったトップレベルの選手から様々なことを学べる場。たとえ選ばれなかったとしても、貴重な経験となることは間違いありません。そして選ばれたときには、誇りと責任感を胸に活動を行います。
 
大学軟式JAPANの主な活動は12月に行われるため、それまで実際の活動を観ることができません。そのため、今回は大学軟式JAPANメンバーがそれぞれの所属チームで出場する「第42回全日本大学軟式野球選手権大会」に向かい、取り組みについて深く追求した昨年に続き、今年はたくさんの選手を紹介すべくお話を聞いてきました。

 
 

大学軟式JAPANに選ばれた選手たち

 

8月23日、長野オリンピックスタジアムでは、全日本大学軟式野球選手権大会の準々決勝、白鷗大学vs.中京学院大学と同志社大学vs.東北福祉大学が行われました。白鷗大学に2人、中京学院大学に5人、東北福祉大学に3人の大学軟式JAPANメンバーが所属しており、今回はその10名に話を聞きました。
 
まずは、今年の大学軟式JAPANのキャプテンを務める東北福祉大学の吉澤輝樹内野手(4年・作新学院)。軟式野球界のエリートで、高校、大学でも全国制覇を経験しています。中京学院大学の浦田新太郎投手(4年・文徳)と共に、昨年も大学軟式JAPANのメンバーに選ばれており、2年連続の選出。



 
「今年はキャプテンをやりたいという気持ちがありました。去年のセレクションを経験して、先頭に立って野球をする人たちってすごいなと思い、自分も知らない選手もいる中で引っ張っていきたいと思いました。去年は引っ張られていく立場の中で、自分の中でこうした方が良かった、ああした方が良かったというのがいくつかあったので、いいチーム作りをしていけたらと思っています」と力強く話す吉澤キャプテンは、小野監督や選手たちからの信頼が厚いだけではなく、実力も高く評価されています。



 

中京学院大学の浦田投手が「上手ですね、守備が。うちの内野陣も上手だと思うんですけど、それとも違う動きというか、口ではなかなか言えない上手さがあるというか、すごいなと思いました。去年より上手くなっています」と言えば、同じく中京学院大学の矢口大成内野手(3年・鶴岡東)も「球際が柔らかいというか、軽いというか。動きが軽い。つぶれたりするじゃないですか、軟式ボールって。回転の入った打球をグローブで一発で収める力がとても高いな、と思います。めちゃめちゃ上手いので、いろいろ聞きたいなと思っています」とべた褒め。
 
実力、人望共にキャプテンを務めるに申し分ない吉澤選手ですが、そんな吉澤選手に対し「普段も同じチームですし、大学軟式JAPANでも少しでもサポートできればいいかな、と思っています」と話す高橋翔太内野手(4年・利府)と、「翔太さんは吉澤さんをサポートすると言っていたので、自分はこのふたりをサポートできればベストかなと」と話す大友新太捕手(3年・柴田)は、東北福祉大学で共に戦ってきた仲間です。






 

大学軟式JAPAN監督の小野昌彦氏も、普段は東北福祉大学のコーチを務めています。大学軟式JAPANのメンバーを選ぶ際は「実力だけではなく、やる気や協調性、人間性も見ている」と言っていましたが、その思いが日常の中で届いていると感じられる三人の言葉でした。
 
大友選手は、自チームで現在他の選手にレギュラーを譲ってしまったようですが、小野監督の話では「キャッチング」が評価されたそうで、捕手としての声掛けや周りを明るくするムードメーカーとしての役割もきちんと認められているようです。高橋選手は「攻撃も守備も積極的なところ」が売りということで、各選手の人間性だけではなくその実力にも注目です。




(左から 大友新太捕手、高橋翔太内野手、吉澤輝樹内野手)
 
 

白鷗大学の古里朋也内野手(3年・八戸工大二)と上野颯太捕手(3年・白鷗大学足利)は、上野選手が古里選手を誘い、今年のセレクションを受けました。「他の選手と野球をできればいいかな」「自分のレベルはどのくらいなのかな、という感じで」とそれほど気負わずに受けてみたところ受かったというふたり。




 

セレクションの日は、雨天の影響などで走塁を見せる場面がなかったこともあり「走塁には自信があるんですけど、走れなかったので。受かる自信は特になかったですね。バッティングは背丈もあるしパワーも結構あるので、そこが評価されたのではないかと思います」と、自チームではキャプテンを務める古里選手は言います。それに対し「そこそこは受かるとは思ったんですけど(笑)。でも四球1個で試合も終わっちゃったんで、ブルペンのときのキャッチングとかノックのとき送球だけは後ろに逸らさなかったのが評価されたのかなと思います」と上野選手。
 
そして、さらに上野選手は「レベルが高いピッチャーや野手と一緒にできるので、自分のチームではできない野球をやってみたいなと思います。ピッチャーのコントロールが良かったり、決め球になるすごいいいボールがあったり、いいピッチャーというか、しっかり持ち味があるピッチャーをリードしてみたいな、と思います」と、トップレベルの投手たちとバッテリーを組むことを楽しみにしていました。




(左から 古里朋也内野手、上野颯太捕手) 


 

最後は中京学院大学の5人です。白鷗大学の古里選手が「自分もショートなので、中京の矢口くんは受かるなと思って見ていました」とセレクションの印象を語っていた矢口大成内野手(3年・鶴岡東)は、自身でも守備が売りと話し、さらに「足を生かして次の塁をどんどん狙っていくので、走塁もアピールポイントです」と言います。




 

また、セレクションで目立っていた選手として自チームのふたり、野村恭平内野手(3年・兵庫県立大附)と西島大志外野手(4年・文徳)から名前が挙がったのが、東北福祉大学の吉澤選手と共に2回目の大学軟式JAPAN選出となった浦田新太郎投手(4年・文徳)でした。


 
浦田投手本人は、選出理由について「チームを勝たせることのできるピッチングだと思います。アウトを狙ったところでとれる。打たせたいところに打たせる配球、ピッチングをしてアウトを重ねます」と言っていましたが、野村選手も「僕が凡打したあとに、僕の方に打たせてくれたりするんです。守備の機会を与えられて、1個アウトとれたら落ち着くじゃないですか。そういうところで彼は素敵ですね」と言い、自由自在のピッチングは事実のようです。
 
西島選手とは高校からチームメイトとのことで「高校のときは絶対的で、お山の大将でした(笑)。大学からは人間性も成長していますし、頼りがいがあるというか。そこは他のピッチャーと違い、頭2つ抜けてるところがあると思います」と、ずっと一緒にプレーしてきたからこその強い信頼を感じました。
 


そんな西島選手は自チームではキャプテンをしており、野村選手いわく「チームのパパ」。なんでも言いやすく、頼れる存在だそうです。技術面でも「チームのために打席に立ち、状況に応じたバッティングができる」ことが持ち味。大学軟式JAPANのパパになる日もすぐそこです。




 

ひと際大きな体に似合わぬほどの人懐っこさを感じる野村選手は、投手としての実力も高いそうですが、大学軟式JAPANでは内野手として選出されファーストの守備をこなします。「長打を打てたり、安打を打てたり、場面に応じたバッティング」も見どころのひとつとのこと。


 
 

そして、この日の試合でも登板し目を引いたのが、サイドスローの椎葉祐也投手(4年・開新)。椎葉投手自身も「変則のフォームで浮き上がってくるような球を放れるのが、今回の選出理由かなと思います」と言い、そのボールの軌道は見ていて面白いです。高校のときはオーバースローで、大学に入って故障をしたことをきっかけに高栁監督に提案され、サイドスローになりました。以前の投げ方より手ごたえを感じているようです。




 

また、中京学院大学の投手ふたりは、小野監督も「計算できる2枚」と高く評価していました。
 

こんな5人に大学軟式JAPANでの目標を聞いてみると、
 
西島「海外の人たちとの交流や、軟式野球の海外のやり方を学べると思うし、自分たちも教えて日本の軟式野球を広めていきたいと思います」
 
矢口「日本と海外の野球のやり方がたぶん違うと思うんで、そこを重点的に学びたいと思っています。たとえば、日本人の考えと違うようなスイングを意識しているかもしれない。そういうのを学びたいです」
 
野村「日本で23人が選ばれているわけで、そこでいいものを盗んでうまくなれるように。あと、軟式野球の普及活動ということでもっと有名になるように精一杯努力したいと思います。以上です!」
 
椎葉「いろんな大学から集まった23人なので、他の大学の軟式野球の考え方だったり監督やコーチの考えを理解して、高いレベルで野球をやっていきたいなと思っています」
 
浦田「選ばれたのは2回目なので今回は1回目の人たちが頼ってくれると思うので、頼れる存在としてピッチャー陣やチームをまとめられるような存在になりたいと思います」
 
とそれぞれの個性が出た答えが返ってきました。



 
 (左から 浦田新太郎投手、椎葉祐也投手、野村恭平内野手、矢口大成内野手、西島大志外野手)
 

小野監督のお話では、「まっすぐで勝負できる投手」だという大阪成蹊大学の高橋晟一郎投手(3年・米子北)や「豪快なスイングで長打が打てる左バッター」桐蔭横浜大学の岸宝永外野手(3年・横浜隼人)など他にも面白い選手はたくさんとのこと。岸選手と中京学院大学の野村選手は「左の岸、右の野村」で、打線のキーになると言います。そんな23人の選抜メンバーが日の丸を背負い、グアムの子供たちに軟式野球の楽しさを教え、日本代表としての誇りを胸に親善試合を戦います。




小野昌彦監督)

 

しかし、まだまだ普及活動の途中である軟式野球の世界、30万円近い遠征費は選手個人の自己負担となってしまうのが現状です。そこで昨年、大学軟式JAPANのOBが中心となりクラウドファンディングを立ち上げました。 遠征費、活動費の負担が軽減されれば、今年のメンバーはもちろん、挑戦したくても挑戦できない選手たちの未来も広がります。 
 
クラウドファンディングへのご協力もですが、何よりトップレベルの軟式野球をその目で見ていただきたいというのが本音です。ご支援いただいた方へのリターンには、なんと壮行試合での始球式やベンチ観戦ができる権利も。
 
その面白さに世間が気づき始め、少しずつ盛り上がってきていると感じる軟式野球。さらなる発展を目指し、普及活動と魅力的なプレーで軟式野球界を盛り上げる大学軟式JAPANにご注目ください。


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山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦。気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターとしても活動している。記者が少なく情報が届かない大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信する役割も担う。趣味は大学野球、社会人野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”、面白いのに日の当たりづらいリーグや選手を太陽の下に引っ張り出すことを目標とする。