第1回:<中編>世界各地に普及・拡大する人気とは? 「Capoeira」日本での20年に注目。

Spportunityコラム編集部

文と写真●KTa☆brasil(ケイタブラジル)
 

▼第1回:<中編> 

 
 

「日本では20年ほど前までマイナーであった外国の伝統的文化・スポーツが、どのように修得、輸入、運営され、発展・普及する事が出来たのだろうか?」

 
<前編>では本場サルヴァドール・ダ・バイーア(ブラジル)から世界中に、そして日本に伝わったカポエイラの20年あまりのあらましについて、一次情報を基調にご紹介させていただきました。未読の方は<前編>からどうぞ。

写真●本場サルヴァドールの本部直系の団体「カポエイラ・テンポ」を率いる須田竜太氏(中央で太鼓を叩き、カポエイラの歌を歌う)による、圧巻のステージパフォーマンス。男女ともに幅広い世代がいるのが特徴。

● 増補改訂をとげた須田竜太氏による人気のカポエイラ本+DVDいちばんわかりやすいカポエィラBOOK-増補・改訂版-須田竜太/dp/4883938298

 
 
 

須田竜太氏に訊く(カポエイラ・テンポ日本支部代表)

 
▼ カポエイラの間違い無いメソッドや精神を、本場名門の師範に師事して修得。本場にある各名門団体公式の指導者資格を取得。さらに日本に本場直系の公式支部を立ち上げた日本人カポエリスタたちがいる。
 
▼ 第一回の<中編>はその代表格、日本のTVCFやPV、番組、格闘ゲーム「鉄拳」のキャプチャーモデルなどでも活躍し、シーンを大きく牽引してきた須田竜太(カポエイラ・テンポ日本支部の代表)氏にインタビューをさせていただいた。同世代の同氏との出会いは15年ほど前。同じ「ブラジル」「アフロ・ブラジル文化」「日本のストリート・クラブ/ダンスミュージックカルチャー」の中で並走して来た間柄でもある。
 

写真●左手:鍛え抜かれた肉体と精神の須田竜太氏を紹介するMCの筆者。

 
●Q1:端から見ていると、カポエイラは日本に本場のメソッドがしっかりと、本場で取組み、資格を取得した日本人によって、正しく伝わり、着実に普及・拡大していっているように見えますが、ご本人からするといかがでしょうか?
 
竜太氏:基本的には日本はかなりブラジルで学んだ通りに伝える指導者が多いですが、アップデートできていない指導者も見受けられます。自分が行くか、ブラジルから呼ぶかができていればいいのですが。
あと、本場のメソッドがそのまま日本でうまく行くとは限らないです。
 
 
●Q2:他団体も含め、カポエイラが日本で広く普及できた理由とは何だと思いますか?
 
竜太氏:カポエイラのために頑張れる人が多かったからだと思います。それだけカポエイラには価値があるからです。
 
 
●Q3:今の日本のカポエイラシーンに対してどんな風に考えていますか?
 
竜太氏:以前に比べて、若年層が少ないのでシーン全体でアプローチをしないといけないと思っています。小学生は多いのですが…。
 
●Q4:2002年の始まりから、「団体を率いている上で気をつけて来た事」をいくつか教えて下さい。失敗談や成功の秘訣を伺えればと思います。
 
竜太氏:人が増えるとそれに関わる問題が増えますね。当たり前の事ですが、双方の話を聞くのが基本だなと学びました。カポエイラ的にはうちは帯があるんですが、その帯ごとのハードルをそれなりにハッキリさせて来たのが良かったのか、ある程度の生徒達のレベルは常に維持できるようになりました。
自分的にはもっと無理してでもブラジルにはたくさん行けば良かったなとは思います。子供ができてからはなかなか行けなくて。
 
 
●Q5:前例無き事を、着実に積み重ね、団体を育てて来ましたが、どんな人たちが支えてくれましたか?
 
竜太氏:カポエイラ・テンポが好きで支えてくれる人達です。
 
●Q6:最初は何人でしたか? 現在何人ですか?
 
竜太氏:10人ぐらいだったでしょうか。現在は120人超えています。
 
●Q7:団体を代表として運営しながら、同時に1人のカポエリスタとしても活動してきましたが、苦心した事、苦心したからこそ見えた事とは何ですか?
 
竜太氏:最近は怪我ですね。立場上他団体の奴と本気で闘わないといけないのですが、それにより大きい怪我を3回しました。そこから、生徒が怪我をしないための指導の必要性に気が付きました。
 
●Q8:2012年に別の雑誌でインタビューさせていただいた時より、指導者の数、道場の数が、増え、2016年には大久保に本部もできました。
ここまで順調に拡大できた秘訣とは? 知られざる秘話などありましたらお聞かせ下さい。また大久保道場が出来て何か変わりましたか?
 
竜太氏:知られざる秘訣はそんなにないとは思いますが、仲間達を信じて思い切って前に進む時は進んで来たのが良かったのかなとは思います。信じてと言うか頼り切っているとも言いますが…。道場ができてからはブラジル本部の様な、カポエイラ・テンポの家ができた感じですね。しばらく離れていた子供がふらっと訪れてくれた時は嬉しかったです。
この建物、「GENスポーツパレス」は格闘技界の化け物達が入り浸っているのでとても刺激になります。団体運営も含めて、他のカポエイラ団体とは違う目線で見られるようになったと思います。
 
●Q9:団体を率いている醍醐味とは何ですか?
 
竜太氏:生徒が成長したのを感じられる時と、みんなで大きいイベントを作っている様子を見ている時です。
 
●Q10:今後、どんな計画・抱負がありますか?
 
竜太氏:今年の冬に、自分がブラジルで昇段する事です。そのために去年ブラジルで怪我した膝のリハビリを頑張っています。団体的には指導者を増やしたいですね。
 
●Q11:カポエイラに興味はあるけど、難しいのでは?と思っている、初心者の方に何かメッセージをお願いします。
 
竜太氏:自分は中学校の時の体育の成績が5段階中、常に2だった男です。夢中になれるカポエイラを必死に練習していたらこうなれました。みなさんもできるはずですよ。
 

中編まとめ

飄々とした佇まいの須田竜太氏。インタビューにもそんな風に応えていただいた感がある。しかし「能ある鷹は爪を隠す」の如きと強く感じた。竜太氏は既に全ての事にカポエイラの持つ、フェイント的バランス感覚「ジンガ」を無意識に体現しているとも言えるかもしれない。並大抵の努力家ではない事、並大抵の集中力と信念や、ちょっとした行動力と展開力では成し得ない実績を構築してきた事は間違いない。
 
何より、
●「机上の空論ではなく、実際に出来る体現者・実現者であること」
●「自己の向上と共に他者の育成に励むこと」
●「何をすべきかを常に見据えた統率者であること」
●「間違いない本物へのこだわりと探求力」
●「良い時も悪いときもへこたれない強さ」
●「自身への厳しさ」
●「何事もかっこよく、センスが良く無ければ魅力的でない事を知る力」
●「仲間を大切にする心」
●「広く展開・通用する人脈を持つ力」
●「時に怖く、時に笑顔あふれる人物であること」
 
等々を、長年、竜太氏から感じて来た。また、カポエイラ・テンポのメンバー諸兄や活動を長年垣間見て来たが、周囲に素晴しい盟友・仲間たちがいる事も「彼ら」の強さだ。しかし、かく言う筆者もまだまだ竜太氏やカポエイラ・テンポの真髄に近づけていないかもしれない。
 
<後編>は「カポエイラ・テンポの一年に一度の盛大な昇段式」の様子をレポートします。カポエイラ、そして須田竜太氏、同氏が率いるカポエイラ・テンポについてご興味を持っていただければ幸いです。そして是非、カポエイラ・テンポに見学に行ってみて下さい。
 

須田竜太氏プロフィール

【特定非営利活動法人カポエイラ・テンポ NPO CAPOEIRA TEMPO理事】
https://capoeira.or.jp/

1997年、矢部良先生のカポエィラ・ヘジョナル・ジャパォンにてカポエィラを始める。同団体ブラジル本部のアソシアサォン・ジ・カポエィラ・メストゥレ・ビンバのあるサルヴァドールに1998年から訪れる。2002年、グルーポ・ジ・カポエィラ・ヘジォナウ・テンポ(カポエィラ・テンポ)に移籍。同年、日本支部を立ち上げる。2016年、新宿区百人町に常設アカデミーアを作る。
雑誌取材、テレビ生出演、CM、PV出演、鉄拳などのモーションキャプチャー、ドラマの殺陣指導、スタント、フィットネスクラブでの指導、マンガの原案協力などカポエィラによるメディア活動が日本一幅広く、書籍2冊、DVDも発行。カポエィラ・テンポはブラジル大使館の公認を得ており、大使館のイベントで要請されて代々木公園ブラジル・フェスティバルにて各カポエィラ団体を毎年まとめている。その様子はブラジル最大のテレビ局GLOBOでも放送されている。
更に、毎年9月に開催されるブラジル大使公邸でのパーティーに招待されているが、日本人スポーツ業界人としては数少ない例の一人。
大舞台やメディア出演が豊富なため、現場に合わせた臨機応変なマイクパフォーマンスも得意としている。カポエィラ・テンポはその努力が認められ、2014年、ブラジリアン・インターナショナル・プレスアワードを受賞。
小学生男児2人の父。

 

ライターのご紹介


KTa☆brasil(ケイタブラジル)
https://keita-brasil.themedia.jp/
東京うまれ、神奈川育ち。Newsweek誌が「世界が尊敬する日本人100」に、UNIQLO初の世界同時展開広告「FROM TOKYO TO THE WORLD」に選出。パリコレ〜F1GP〜W杯〜本場リオのカルナヴァルまで、世界各地で活躍するミュージシャン、DJ、サッカー関係者、打楽器指導者。ブラジル代表ユニフォームのマークでおなじみの“CBF”=ブラジルサッカー連盟による公式番組“CBF TV”が、“外国人でありながら“80年代前半以来、ブラジルの歴代サッカー選手やクラブチーム、サッカー界と長く深く関わる人生”を番組特集した(現在唯一の日本人)。今年も南米リベルタドーレス杯番組や、CBFブラジル杯公式プロジェクトに招集されている。ブラジルとのご縁は幼少より約35年。10代より両国を往復し続ける活動は2018年で22年目。ブラジル政府各省/リオ市観光局事業公式実績者。サンバ応援の本場:リオの名門クラブチームC.R.Vasco da Gamaの名物応援団サンバ打楽器隊員を経て、スタヂアム殿堂刻名の現上級会員。同クラブの様々な公式プロジェクトに招集され、東日本大震災発生時には南米で一番早く企画・実行された救援プロジェクトの一員でもある。 日本でもTV/FM/新聞/雑誌/WEBなどのメディアではサッカーや音楽を中心にブラジルや欧米ラテン諸国のプレゼンターとして活躍。TBSスーパーサッカー、スポナビ、NIKE FOOTBALL、SONY FOOTBALL、JTB、excite公式ブログ・・・様々な現場とメディアでレポーター、MC、コラム寄稿を歴任。Jリーグ、Fリーグの選手や関係者との関わりも深い。リオ五輪では日本政府のパビリオンJAPAN HOUSEでの音楽イベントを11本プロデユース。命名した共著書「リオデジャネイロという生き方」(双葉社)他、寄稿も数多い。
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